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とうあのへいわをろんず
東亜の平和を論ず
大隈 重信
「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页
平たく言ってみれば、諸君の父さんは孔子様の門人であったに相違ない。そうでないならば土百姓か、無学文盲の人に違いない。五千万という大民族は大概孔子さんの門人である。孔子さんの感化を受けて、口を開くと仁義をいう。この仁義ということは皆これ支那の哲学から導かれたところのもので、この感化力は実に広大なるものである。近来支那を悪く言う者はよほど通人のようになっているが、これは意外の事である。近来の支那はあまり宜しくは無いが、それがために孔子まで悪しくいうのは不都合である。
例えば中古時代の基督教に於て、羅馬法王の権力で腐敗した。これを以て基督教を悪くいうが、決して基督教は悪くいうべきものではない。基督は尠なくとも聖人である。人類を罪悪から救わんと企てた人である。ところが羅馬の坊主どもが一時権力が大になるに随ってあらゆる罪悪を犯した。普通の俗人よりも余計犯すに至った。羅馬の坊主どもこそ沢山地獄へ往ったであろうと思う。しかしそれがために基督教を非難するのは気の毒である。それと同じく孔子さんの子孫の支那人が多少堕落したために、孔子さんを悪くいうのは実に勿体ない。