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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

日本が露西亜に向って戦いをなすについて、諸外国が熱心な同情を表せらるるというはこのためである。

果して然らば列国協同して露西亜の力を制すというが一番宜いようであるが、「バルガン」と同じく列国協同ということはその形の大きくして、実勢はそれほど固いものではない。例えば、英仏同盟して露西亜を討った事がある。露西亜の擅に人の国を侵略するということに付いて、英仏は露西亜に向って戦いを開いたのである。それは有名なる「クリミヤ」戦争であって、前後三年の後についに露西亜は屈して和を媾じた。その当時、英仏連合して露西亜に向ったが、僅かに四十年の後は、露仏は東洋に於て同盟して日本の遼東の占領に干渉した。「クリミヤ」戦争から三十年の後には露仏は同盟した。こういう訳で、列国協同なるものは国際的の利害、列国間の勢力平衡の上から、時に依っては変化する。それ故に一番利害の密接なる関係のものが、世界の利益を代表して余儀なく一国限りの力を以て剣を取らなければならぬということになる。将来に於てもこの絶東に於ては、日本が平和を保つの任に当らなければならぬ。世界の平和の保障とならなければならぬというは国の地位の上から生ずる天職であって、実に已むを得ぬことである。