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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ
東山時代における一縉紳の生活
原 勝郎
「藝文」京都大学文学部、1917(大正6)年8月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 页
ないので、つまりその打破に向って一歩を進めたものである。しかしてこの傾向は承久の役の鎌倉の勝利および建武中興の不成功によりて、いよいよ跡戻りし難い大勢となった。武人化は常に階級制度の衰微に伴うものとはいえないけれども、この場合においてはたしかに民主主義に一歩を進めたものなのである。しかして足利時代というものは、実にこの大勢の成した結果だとすれば、たといその文明の本質において大いに復古的の点があるにもせよ、これを藤原時代に比して顕著なる差異のあるものと考えざるを得ない。
第三に足利時代のその既往に比して異り、したがいて藤原時代と大いに同じからざる点は、文明の伝播力の強弱の差である。足利時代において日本の文明の分布が、前時代に比し、すこぶる普遍平均の度を加えたのは、これ一には当時における文化なるものが、藤原時代において上流社会の壟断するところとなっておった文明に比べて、その典雅の度を減じて通俗になり、卑近になり、必ずしも上流者流の間にのみ限らなければならぬ底のものでなくなったことに基づくとはいいながら、なおそのほかに伝播力が藤原時代に比して大いに増加したということも、そのまた有力な一原因をなしている。