轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まつばやしへんや

松林蝙也

山本 周五郎

「キング」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,092 字 · 25 页

青空文庫

七日めの夕方であった。中庭へ下りて草花に水をやっていると、門人の山根道雄という若侍がやって来て、

「お町どの、近頃お顔の色が優れぬ様子だが、何か御心配ごとでもあるのですか」

と気遣わしそうに訊ねた。

「拙者にできることなら何なりとお力添えを致しましょう、お心に余ることがあったらお打明けくださらぬか」

「はい、――」

町はちらと道雄を見た、――彼女は自分がこの家へ来た時から、いつも彼が自分のほうへ慕わしげに眼を向けていることを知っていた。そこでつい誘われるように、

「あの、実は」

と思切って蝙也との約束を話しだした。

「――そういう訳で、先生をお驚かし申せば、わたくし清いままの体でお暇が頂けるのでございます」

「そうでしたか」

「それでこの七日あまり、毎夜お寝間をうかがっているのですが、どうしても入ることができず、今ではすっかり気が挫けて……」

「お町どの!」

道雄は声を低めて、

「これはとてもあなた独りの手には負えません、拙者に助勢をさせてください、実は我々門人も先生から同じようなことを云われているのです、だからお互いに助け合って先生の油断を狙いましょう。独りでできないことも二人ならやれる道理です」