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じゅうどうとけんとうのころがりじあい
柔道と拳闘の転がり試合
富田 常雄
「少年倶楽部」講談社、1935(昭和10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,666 字 · 8 页
そのうえ、裸でつかまえどころがないのだから、この試合は非常にむつかしい、やりにくいのだ。しかし、死んでも勝たねばならぬこの一戦! 富田六段はその翌日、モンクスへ試合の約束を申し送った。
◎拳闘は、どこまでも拳闘の規則を守ること。
◎柔道も柔道の規則を守ること。
◎試合場は板の間で行なうこと。
◎死んでも一切不服のないこと。
モンクスのほうでも、よろしいと答えてきた。
そして場所は、セントラル・クラブの広間ときまった。
その日になると、これはどうだ。世間へ知らさない試合なのに、命がけの大試合ということが口から口へ伝わって、広間はいっぱいの人だかりだ。
試合場は、十メートル四方にロープを張った四角い中で板張りだった。
モンクスは緑のパンツ、富田六段は洗い清めた柔道着に黒帯姿、審判のアメリカ人がモンクスのグラブを富田六段にさわらして、グラブの中になんにもはいっていないことをしめす。モンクスは富田六段の柔道着をなでまわしたり、ふところの中をのぞいて短刀でもはいってないかといわんばかりにしたり、袖の中をのぞいたり、たいへんな調べ方だった。
日本の柔道勝つか? アメリカの拳闘勝つか? 場内の空気は重苦しく殺気だった。