轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えいぞうのし
栄蔵の死
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 页
がそうさせないでは置かなかった。
自分の前に座った此家の主婦が、あまりにいつ見ても年を喰わないのにびっくりした栄蔵は、一寸行きつまりながら、低いつぶやく様な声で、時候の挨拶、無沙汰の云い訳けをし、つけ加えてお君の詫までした。
主婦は、気軽に、お君の身のきまったよろこびだの、総領の達も、とうとう今年は学校が仕舞いになって後だてが出来て良いなどと栄蔵を満足させる事ばかりを話した。
大層この頃は時候が悪い様だ、お節はどうして居ると云われた時に、漸く栄蔵はお君の事を話し出した。
「同じ結核でも胸につきますよりは、腰骨についた方がよいようでございますから。
と云って、主婦を驚ろかした。
骨盤結核だと聞いた主婦は、もう大方は限りある命になってしまったお君にひどく同情したが、肺結核より骨盤結核の方がいいそうだなどと云うほど無智な父親を又なく哀れに思った。
お君だって、命にかかわるほどではないと、ああ云う女だから思って居るに違いないし、父親は父親で娘の病が、どう云うものかと云う事を知らずに居ると云う事が、又とない悲惨な事、惨酷な事に思えた。
江戸っ子気の、他人のために女ながら出来るだけつくす主義の主婦は、自分に出来るだけの事は仕てやる気になって、とかく渋り勝ちな栄蔵の話に、言葉を足し足しして委細の事を云わせた。