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こうせいのはなし

校正の話

中谷 宇吉郎

「図書」1954(昭和29)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,488 字 · 6 页

青空文庫

文章や文字を校正の時に直したい場合も、もちろん赤色である。そして青色の訂正は無料、赤色の訂正は有料ということにしてある。

青色の方は印刷屋のエラーであるから、これを直すのは無料、赤色の方は、著者のエラーであるから有料、というのであるから、理窟には合っている。有料分は、普通は著者の負担で、印税から差し引くが、契約によっては出版社で引き受ける場合もあるらしい。ところで、問題はこの有料分の金額の算定であるが、それは、その分の訂正に要した職工の時間数で計算する。一字挿入したりすると、その以後ずっと文字がずれて、改行のところまで行くわけであるから、たいへんなことになる。印刷工は労銀が高い、一時間三ドルくらいが普通であるから、大いに痛いわけである。

こういう規則になっていると、著者は原稿に大いに注意をはらう。スペリングの間違い一つでもすぐ印税にひびくわけである。もっとも英文の場合は、タイプライターを使うので、原稿を完全なものにすることは、その気さえあれば、比較的容易である。初めのタイプに筆を入れて、それをタイピストに浄書して貰い、それにまた筆を入れて浄書する、というふうにやるので、本屋に渡す時は、ほぼ完全な原稿になっている。