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きりゅうつうしん

桐生通信

坂口 安吾

「読売新聞 第二七七五五号~第二八〇二五号」1954(昭和29)年3月11日~12月6日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 16,394 字 · 33 页

青空文庫

なぜなら棒は三、四本ですむのだし、子供たちは十円のアルバイトに情熱をいれていないから、タマの行方なぞ見ていない。彼らをあてにしているとタマが行方不明になる率が多いのだ。タマは五百円もするのだから、これほど割に合わないことはない。そのうえ

「夕刊配達の時間だよオー」

と母親が門の外から声をかけると、子供は棒を投げすてて走り去るので、ここでキャデーを使うのはむしろ悪趣味にすぎないのである。

工員ゴルフと別に、足利ゴルフ会というだんなの会もここにあって、だんなはだんなで時々ゴルフ大会をやる。中には正式のレッスンをうけた正しいゴルファーもいるけれども、大会にでてくる人々の多くはここでたたきあげただんなであるから、ものすごい。

「ワー、タマが上へあがったね」

とほめられているだんなもいる。もちろんゴルフのエチケットなぞここでは無意味なばかりか、スコアの勘定も無意味である。なんべんカラ振りしても、そんなのは勘定にいれないし、打った数も一コースにつき二つ三つごまかすのは商業上の道徳と同じように公然と行われているのである。だから田舎のだんなゴルフ大会にはでるものではない。