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つちのなかからのはなし

桜の森の満開の下

坂口 安吾

坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页

青空文庫

この方法は平安朝の藤原氏が、武家時代の鎌倉政府が足利氏が、そして昭和の今日には軍閥政府が、行ったところである。天皇はロボットであった。その号令は天皇の意志ではなしに、藤原氏の、鎌倉幕府の、軍閥政府の意志であった。然し、彼等は天皇の名に於て自らの意志を行う。そして自ら真ッ先にそれに服従することによって、同じ服従を万民に強要するのである。これは利巧な方法であった。そして、この原形を発案したのは中大兄皇子であった。皇子は、皇極、孝徳、斉明三天皇を立て、自らは皇太子として、大改革に着手した。

従って皇極(斉明)という女帝は中大兄皇子のロボットであり、女帝自体に意味はなかった。女性時代ともいうべき女帝時代は持統天皇から始まる。

*

天武天皇崩御のとき皇太子(草壁皇子)がまだ若かったので(当時は幼帝を立てる例がなかった)皇太后が摂政した。三年の後、皇太子も亦薨じ、その子珂瑠皇子は極めて幼少であったから、皇太后が即位した。持統天皇であった。

持統天皇の在位は皇孫珂瑠の保育にあったが、太政大臣に高市皇子を任じ、補佐するに葛野王あり、家族政府として極めて鞏固な団結であった。