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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
大臣は温和であった。藤原不比等は正しかった。彼等は実直な番頭だった。すべての意志が、天皇家の家名のために捧げられ、一途に目的を進んでいた。
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これらの痛烈な意志を受けて、その精霊の如くに、首皇子は成長した。聖武天皇であった。
その皇后は三千代と不比等の間にできた長女の安宿であった。全身は光りかがやく如くであったから、光明子とよばれ、又、光明皇后とよばれた。天皇と同じ年齢だった。まだ皇太子のころ、元明天皇が選んで与えたものだった。
そのときまで、皇后は内親王、王女に限るものとされ、臣下の女は夫人以上にはなり得ない定めであった。聖武天皇即位六年の後、五位以上、諸司の長官を内裏に集めて、光明皇后冊立を勅せられたが、他に何人かの意志があったにしても、最も多く聖武天皇の意志であったに相違ない。なぜなら、光明皇后を何物にもまして熱愛していたからであった。
安宿は天下第一の女人の如くに教育された。それは三千代の悲願であった。不比等の女(三千代の腹ではない)宮子は入内して文武天皇の夫人となった。文武天皇は妃も皇后もめとらず、宮子は実質上の皇后だったが、天皇は二十五で夭折した。