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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
彼等の答えは全てがまったく同一だった。
そこで彼等は拷問せられて、廃太子道祖王、黄文王は杖に打たれて悶死をとげ、古麿と東人も拷問に死んだ。生き残った人々は流刑に処された。東人が杖に打たれて死んだので、この真相はもはや誰にも分らなかった。
そして、このとき、豊成の子の乙縄も陰謀に加担していた。そこで父の右大臣は陰謀を知って奏することを怠ったという罪に問われて、太宰員外師に左遷され、遠く九州へ追い落されてしまったのである。
あらゆる敵を一挙に亡したばかりでなく、目の上の瘤、兄大臣を退けることまでできた。押勝の満足は如何ばかり。
ところで、その同じ時刻に、顔を見合せてニヤリとしていた一味がいた。藤原永手、藤原百川、その他藤原一門の若い貴族の面々だった。彼等こそ押勝の腹心だった。赤心を示し、忠誠を誓い、召捕に、又、拷問に、糾明に、率先当った人であった。
然し、彼等は祝杯をあげていたのである。彼等は老いたる狐の如くに用心深い若者だった。祝杯の陰の言葉から、我々は如何なる秘密もききだすことはできない。その場にたとえば押勝がひそかに忍んで立聞きしても、陰謀の破滅と、平和の到来を祝う言葉をきき得ただけであったろう。