轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
覚えた。痴川は和やかな感傷に酔い乍ら、白々と鈍く光る深夜の部屋に長い間佇んでいた。
一日痴川が麻油を訪ねてゆくと、麻油は大変好機嫌で、痴川を大歓迎するようにしたが、
「小笠原さんて、ひどい人ね――」
「なぜだ……」痴川はどぎまぎした。
麻油はいきなり哄笑を痴川の頬へ叩きつけて、
「あんた、怒っているの? 口惜しがっているの? あはははは。小笠原さんと孤踏夫人て、ずい分ひどい人達ね……」
痴川はみるみる崩れるような、くしゃくしゃな泣き顔をしたが、急に物凄い見幕で怒りだして、
「莫迦野郎! お前なんぞに男の気持がわかるものか。そんなことは男同志の間柄じゃ平気なことなんだ。生意気に水を差すようなことをして、このお多福めえ、気に入らねえけったいな女詩人だと言ったら……」
「ごめん、ごめん」麻油はいきなり痴川の首っ玉へ噛りついて顔一面に接吻して、
「ごめんなさいね。あたし、悪い気で言ったんじゃないの。かんにんしてね……」
顔と顔を合せて痴川の眼を覗き込むようにして、「坊や……」
麻油は嫣然と笑って、痴川の胸へ顔を埋めた。
翌日痴川と別れてから、麻油はしかつめらしい顔をして暫く火鉢に手をかざしていたが、やがて用箋を持ち出してきて、小笠原宛に次のような手紙を書いた。