轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばいしのつえ
梅颸の杖
吉川 英治
「文藝春秋 オール読物号」1930(昭和5)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,966 字 · 32 页
『盗れる』
『盗れない』
と、争いになった。
盗れないと主張したのは、ごまの蠅では半生以上眼を研いできた男だった。その男の観察で、なぜ盗れないという見極めがつくかという説明を聞くと、あの杖には、おそろしく老女の気がはいっている。それに、象牙や金環の巻いてある点なども、ただの杖とはみえない。
おそらく老女の生命以上に大事にしている物らしいから盗れない、と断言するのだという。
『ばかを言ってやがら、きっと盗ってみせる』
そう言って、突っ張ったのが、色の小白い讃岐の四郎次というごまの蠅で、
『行って来る』
と、すぐに老女の後を尾けた。それが梅※(「風にょう+思」、第4水準2-92-36)だったのである。
四郎次は失敗した。いきなり杖に手をかけてはと思って、船着の混雑の中で、梅※(「風にょう+思」、第4水準2-92-36)のふところへ手をやると見せ、実は杖を奪おうとしたのだった。
所が、その手を捕まえられた途端に、南鐐銀一枚、手のひらに握らされて、軽く、放たれてしまった。
呆っ気にとられている四郎次を、やがて仲間の者が囲んで、
『どうしたい、杖は』
と、嘲笑った。