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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
此の役は御勘弁願えませんか。誰か他の奴を選ンでやっておくんなせえまし」
大瀬の半五郎が次郎長に、
「親分」
「何ンだ、半五郎」
「親分が石松に使えに行って来いと仰しゃるから、俺ァ隣へ釘抜きでも借りに行くのかと思って居たら、金毘羅様迄行くんじゃ石松が可哀そうだ。今旅から帰ったばかりじゃありませんか」
鶴吉も傍から、
「そうだ。爺つあんの言う通りだ。石松も久し振りで清水へ帰って、お半さんにも逢い度えだろうし……。ねえ、親分、此奴ァ誰か外の奴を……何なら儂が石松の代りに行って参りましょう」
「いや、皆な、此奴ァ是非石松に行って貰い度え訳があるンだ」
石松が、
「親分、どうして儂でなくっちゃ、いけねえンで御座います」
「実ァ先刻、紺久の旦那が内々で、知らせに来て下すったンだが、駿河の町奉行から界隈の御用聞き仲間へ、森の石松を召捕れって下知があったンだ」
「儂を召し捕れって……? 一体また、どうした訳で……」
「久六の身内の奴等が手を廻しやがったンだ」
「久六、卑怯な真似をしやがる」
と半五郎、怒る。
次郎長が、
「それで、今晩か明日の晩手を入れるから、それ迄に逃してしまえ。