轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しいのき

椎の木

豊島 与志雄

「赤とんぼ」実業之日本社、1946(昭和21)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,002 字 · 13 页

青空文庫

猫ははっきり眼を開きました。

見ると、一筋の糸が、椎の木の上へのびていました。糸の先には、赤い絵のかいてある凧が、ふらりふらりとたぐりよせられていました。

椋鳥がとんでにげました。

凧はだんだん近くなりました。右にかたむき、左にかたむき、あぶなっかしいようすでしたが、にわかに、がくりとかたむいて、さかさまになりました。糸が椎の木の枝にひっかかったのです。そしてそのままたぐりよせられたので、凧までも枝にひっかかってしまいました。

――ばかなことだ。とうとうひっかかってしまった。猫は立ちあがって、背のびをしましたが、またそこにねそべって、眼をつぶりました。

一郎と二郎が、凧の糸をまきとりながら、椎の木の下にやって来ました。

一郎は上を見あげながら、凧の糸を、ちょっちょっと引っぱり、ゆっくり引っぱり、強く引っぱってみました。そのたびに、椎の葉と凧がゆれ動くだけで、凧はそこからはなれませんでした。

「だめなの。」と二郎は尋ねました。

「うん。」と一郎は答えました。

「さおをもってこようか。」

「届きやしないよ。」

「はしごをもってこようか。」

「あんなとこまで、登れやしないよ。