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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

」

同じ声である。次郎は自分の印象に残っている室員の顔の中から、声の主をさがしてみたが、まるで見当がつかなかった。

「そりゃあ、そうだね。」

と、ちがった声が相づちをうった。それはしかし、大して気乗りのした相づちだとは思えなかった。すると、また、しゃがれた声が、

「探検だの、室ごとの相談だの、まったく時間の浪費だよ。塾生活の設計だなんていったって、はいって来たばかりの僕たちに、そんなことができるわけがないじゃないか。ね、そうだろう。」

「じっさいだね。」

第三の声が、今度は心から共鳴したらしくこたえた。

そのあと、しばらくは、がやがやといろんな声が入りみだれた。どの声もいくぶんうわずった真剣味のない声だったが、しゃがれた声に相づちをうっていることはたしかだった。おりおり、何かを冷笑するような声もまじっていた。

そうしたざわめきをおさえつけるように、また、しゃがれた声がいった。

「だからさ、だから、もう相談なんかする必要はないよ。」

みんなは、ちょっとの間沈黙したが、すぐだれかが、

「しかし、懇談会がはじまったら、何とか報告はしなくちゃならないんだろう。」

「そりゃあ、報告はするさ。