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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

しかし、さしあたっては、室長と塾長とがあれば、どうにかやっていける。ところで、さっそく困るのは、明日からの行事だ。何時に起きて何時にねて、その間に何をするのか、とりあえず明日一日のことだけでもきめておかないと、まったく動きがとれない。それについて、君らに何か考えはないかね。」

「先生!」

と、かなり激昂したような声が、みんなの耳をいきなり刺激した。それは次郎の耳にはききおぼえのある、しゃがれた声だった。

「そんなことまで、みんなで相談してきめるんですか。」

みんなの視線が一せいにそのほうにあつまった。頬骨の高い、眉の濃い、いくらか南洋の血がまじっていそうな顔だちの、二十四五歳の青年が、膝に両腕を突っぱり、気味のわるいほど眼をすえて、朝倉先生を見つめている。

「むろんそうだよ。みんなの生活は、みんなで相談してきめるよりしかたがないだろう。」

朝倉先生はしずかにこたえた。

「しかたがあると思うんです。」

「どういう方法があるかね。」

「ここは塾堂でしょう。そして先生はその塾長でしょう。」

「そうだ。それで?」

「先生には、何もご方針はないのですか。」

「方針はあるとも。