轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
05 第五部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页
しかし、次郎の接したかぎりでは、かれがこれまで見て来た中学五年の生徒たちにくらべて、常識の点でも、理解力や判断力の点でも、はるかにすぐれていると思われる青年が大多数だった。
次郎はそうした青年たちに接しているうちに、自分のこれまでの学生生活が、ほんとうの生活から浮きあがったもののように思われて恥ずかしい気がした。朝倉先生は、かつて白鳥会の集まりで、学生が勤労青年を友人に持つことの必要を説いたことがあったが、その意味が今になってやっとわかるような気がするのだった。かれは次第に塾生たちに愛情と尊敬とを感じはじめていた。中学の卒業試験はもう間近にせまっていたが、かれの関心はそのほうの勉強よりも、少しでも多くの時間を彼等といっしょにすごすことに払われていたのである。
しかし、かれにとっての最大の喜びは、何といっでも、田沼先生――開塾以来、田沼さんは自然みんなに先生と呼はれるようになっていた――にたびたび接して、直接言葉をかけてもらうようになったことであった。
田沼先生は、塾財団の理事長という資格で、開塾式にのぞみ、一場のあいさつを述べたのであるが、次郎は、仏像の眼を思わせるようなその慈眼と、清潔であたたかい血の色を浮かしたその豊頬とに、まず心をひきつけられ、さらに、透徹した理知と燃えるような情熱とによって語られる