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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

夕食は五時半に、本館の広間に集まって、ごいっしょにいただくことにしておきました。そのあと、八時のお引きあげの時刻までは、親交を主としてできるだけおもしろくすごしたいと思います。その進行係は私にお任せ願いますが、あるいは皆さんに隠し芸を出していただくようなことがあるかもしれませんから、そのご用意を願っておきます。なお、念のため申しそえておきますが、この塾堂には、秘密の室とか、出入り制限の室とかいうものは一室もありませんし、また了解のもとにここの門をはいって来た人なら、どんな人でも家族同様の気持ちでお迎えすることになっています。ですから、皆さんもどうかそのおつもりで、今日はお客でなく、もとからの家族だというお気持ちでおすごしくださるようにお願いしたいと思います。」

次郎がそう言って引きさがると、大河無門がすぐ手をあげて、何か友愛塾の塾生たちに合い図をした。すると、塾生たちは、五人、七人とかたまって、興国塾生たちのほうに近づいて行き、「関東地方の諸君はこちらに」とか、「東北地方の方は私どもがご案内します」とか、いったぐあいに、口々に叫びだした。

次郎は、もうそのときには、塾生たちのほうよりは、荒田老や小関氏のほうに注意をひかれていた。