轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
05 第五部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页
かれは、しかし、つぎの瞬間には、かえってその言葉を機縁に、自分を勇気づけていた。寮の前庭で中食の弁当をすましたかれは、すぐ大河をさそって、落葉松の林をくぐり、湖面のちらちら見える空地に腰をおろした。木かげにはまだ雪がところどころ溶け残っていたが、陽ざしはしずかであたたかだった。かれはいくぶん恥じらいながら、同時にいくぶんの自負心をもって、道江の問題に対して自分のとった態度を説明しながら、いっさいを告白した。大河は、次郎が話している間、眼をつぶっているきりだった。口もきかず、うなずくことさえしなかった。そして話がおわってからも、次郎を気味わるがらせるほどだまりこくっていたが、やがて眼をひらくと、言った。
「ぼくが同じ立場にいたとしたら、ぼくはおそらく無遠慮に恋を打ちあけたでしょう。それがぼくにとっては自然なような気がします。むろん拒絶されたら、その時にはさっぱりあきらめますがね。もっとも、あきらめるのがぼくにとってはたして自然だかどうだか、それは実際にその場合になってみないとわかりませんが。」
それから、また、しばらくして、
「朝倉先生だと、どういう態度に出られますかね。