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しょうごのさつじん
正午の殺人
「小説新潮 第七巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,888 字 · 28 页
そして文作を駅まで送ってくれたのである。
文作が挿絵の先生をまわって、原稿をとどけ、できている挿絵を受け取って社についたのが三時ちょッと前だった。とたんに社会部の記者が三四人立ちふさがって、
「今ごろまでどこをうろついてたんだ?」
「よせやい。小説原稿と挿絵をまわって、休むヒマもありやしない」
「お前まさか神田兵太郎を殺しやしまいな」
「おどかすない」
「神田兵太郎が自殺したんだ。しかし、他殺の疑いもあるらしい。とにかく、貴公、ちょッと、姿を消してくれ」
「なぜ?」
「こッちの用がすむまで他社に貴公を渡したくないからさ。神田兵太郎が死んだのは、貴公があのウチにいた前後なんだ。もしも他殺なら、貴公は容疑者のナンバーワンだよ」
「オレのいたのは正午だよ。神田先生はシャワーを浴びてピンピンしてたよ」
「待て、待て。白状するなら、こっちの部屋で……」
と、社会部の荒くれどもは犯人の如くに彼をとりかこんで、グイグイ別室へ押しこんでしまった。
★
アケミは文作を駅まで送ってから、ぶらぶら散歩して、農家から生みたての卵を買い、そこで二十分ぐらい話しこんだ。散歩から戻ってきたのが一時ごろであった。