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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

国木田独歩『武蔵野』。同一底本的分册已合并为一书。收入:忘れえぬ人々、置土産、おとずれ、河霧、郊外、小春、鹿狩り、詩想、初恋、初孫、星、まぼろし、遺言、わかれ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 页

青空文庫

※(始め二重括弧、1-2-54)二※(終わり二重括弧、1-2-55)

さて十一月某日、自分は朝から書斎にこもって書見をしていた、とあらためて書き出す。

※(始め二重括弧、1-2-54)二※(終わり二重括弧、1-2-55)

昨日も今日も秋の日はよく晴れて、げに小春の天気、仕事するにも、散策を試みるにも、また書を読むにも申し分ない気候である。ウォーズウォルスのいわゆる

『一年の熱去り、気は水のごとくに澄み、天は鏡のごとくに磨かれ、光と陰といよいよ明らかにして、いよいよ映照せらるる時』

である、気が晴ればれする、うちにもどこか引き緊まるところがあって心が浮わつかない。断行するにも沈思するにも精いっぱいできる。感情も意志も知力もその能を尽くすべき時である。冬はいじけ春はだらけ夏はやせる人でも、この季節ばかりは健康と精力とを自覚するだろう。それで季節が季節だけに自分のウォーズウォルス詩集に対する心持ちがやや変わって来た、少しはしんみりと詩の旨を味わうことができるようである。自分は南向きの窓の下で玻璃越しの日光を避けながら、ソンネットの二、三編も読んだか。そして“Line Composed a few miles above Tintern Abbey”の雄編に移った。