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れきしたんていほうほうろん
歴史探偵方法論
「新潮 第四八巻第一一号」1951(昭和26)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,900 字 · 16 页
それですら異境タンケン記などというものは読物以上に考えられないし、それが当り前の話であるが、まして当時たまたま日本の地をふんだ外国人が日本の地理風俗官名などについて語っていることが正確であり得ないのは当然のことだ。
むろん、あるいは非常に正確であるかも知れぬ。当時に於ける支那随一のタンテイの旅行記で、心眼至らざるなくコクメイに調査して正確にメモをとり、当時としてこれ以上の正確を期しがたい実相を語っているのかも知れない。
しかしながら、それを立証する事実がなければ、万が一の可能性を信ずることができないのは当り前のことである。たとえば二分の一の可能性であっても、それを立証する事実がなければ法廷の証拠とはなり得ない。
かりに魏志というものがシナ第一に史料価値の高いものであっても、一異国人のたまたまの見聞記では論外で、魏志の史料価値とは無関係の問題だ。
まだしも日本人がたまたまシナへ行って日本の国情を語った方がいくらか内容は確かであろう。しかしその日本人が唐津の漁夫で、生れた土地しか知らない人間だとすれば日本へ漂流してともかく日本の諸方をいくらかでも歩いたシナ人の見聞記がむしろ確かだ。