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れきしたんていほうほうろん
歴史探偵方法論
「新潮 第四八巻第一一号」1951(昭和26)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,900 字 · 16 页
私は歴史については小学校一年生でちかごろ志を立てて読みだしたばかりだから多くのことは知らない。
けれども、一年生ながらもお歴々の大先生方の手前をはばからず言わなければならない一ツのことがあると思うようになった。それは歴史というものはタンテイの作業と同じものだということである。ところが歴史学者はタンテイ作業が劣等生で、その方法に於て筋が立たず、チンプンカンプンで、犯人を牢屋へ閉じこめるわけではないから大問題にもならないけれども、推理の方法に於てこう劣等生では学問としてあまりにたよりない。
歴史というものがなぜタンテイと同じであるかというと、すべて証拠によって史実を判断するものだからだ。完全にそれ以外のものではない。文献的な史料による場合もそうであるし、遺蹟、古墳等を発掘する考古学的な場合に於てもそうである。後日の発掘などということを知る由もない古代人が何も知らずに残した遺跡であるから、その遺跡から殺人犯の指紋を探す必要はないけれども、殺人犯人の指紋をつきとめるだけがタンテイ作業の限界ではない。この家に住んでいた人間(犯人)はどんな生活をしていたか。