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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
「文学界」1937(昭和12)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页
お母さん、あなたはそんなに芸術家でいながら何をくよくよと迷っているのです。(然し茲にはっきり云って置くことは、××を打ち壊せということではないのです。良き社会人としての生活には、××は立派な意義や生命を持っているのです。×××の意義もそこにあるのです。すべての人の幸福のために戦うと云うところにあれらの意義はあるのです)
しかし芸術家となった以上、そこにいわゆる社会人のおつとめ以外、もっと大変な芸術というすべてのモラルやカテゴリーや時代を超越したものにぶつかって行くのです。
ジードは人間として×××になったけれど、彼の芸術までを×××に渡そうとはしません……(略)
美のための美はいけない。
芸術は××も×××美も何にもない処の、切実な現実を現わすのです。(略)
この手紙を書いて仕舞って我ながら驚いたのです。何故ならお母さんの本当のところは××思想を解している。あの天地間の闊達無碍な超越的な思想からすれば、今更僕が以上のような手紙を書かなくてもいいわけなのです。こんな煩雑なことを誰がさせるのですか。お母さん、やっぱりあなたがさせるのです。お母さんはあんな立派な思想を研究し了解し得る素質を持っているくせに、お母さんの個人的にそれに添わない幼稚な到らない処が残っているのです。