轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
「文学界」1937(昭和12)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页
で、ともすれば子の僕にさえ、ただの××だなとお母さんを思わせ、こんな手紙も書かせるのです。お母さんの一方は余り偉過ぎます。一方は余り偉くなさ過ぎます。生憎なことには偉くない方がお母さん自身にも他にも多く働き掛けるのです。両方がよく調和した時がお母さんの本当の完成を見る時なのです。(後略)
かの女はむす子が曾て、あれだけの感情家である自分の感傷を一言も手紙に書いて来たためしのないのを想い出しながら、書きかけの原稿紙にいつかこんな字を書いていた。
むす子は厳しい、母は弱い。
母は女で、むす子は男で。――
「そりゃ、なんだい」
と逸作が笑いながら覗いて行った。
あとでかの女はまた書いた。
母は女で、むす子は男、むす子は男、むす子は男、男、男、男――男だ男だと書いていると、其処に頼母しい男性という一領土が、むす子であるが為に無条件に自分という女性の前に提供された。凡そ女性の前に置かれる他の男性的領土――夫、恋人、友人、それらのどれ一つが母に与えられたむす子程の無条件で厳粛清澄な領土であり得ようか。かの女はそれを何に向って感謝すべきか。また自分よりも逞しい骨格、強い意志、確乎とした力を備えた男性という頼母しい一領土が、偶然にも自分に依ってこの世界に造り出された。