轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
「文学界」1937(昭和12)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页
活を入れられて情景が一変した。広間は俄に沸き立って来た。新しい酒の註文にギャルソンの駆せ違う姿が活気を帯びて来た。
かの女はすっかりむす子のために、むす子のお友達になって遊ばせる気持を取戻し、ただ単純に投げ抛ったりしているジュジュの手毬を取って、日本の毬のつき方をして見せた。
ほうほうほけきょの
うぐいすよ、うぐいすよ
たまたま都へ上るとて上るとて
梅の小枝で昼寝して昼寝して
赤坂奴の夢を見た夢を見た。
かの女はこういうことは案外器用であった。手首からすぐ丸い掌がつき、掌から申訳ばかりの蘆の芽のような指先が出ているかの女のこどものような手が、意外に翩翻と翻って、唄につれ毬をつき弾ませ、毬を手の甲に受け留める手際は、西洋人には珍しいに違いなかった。
「オオ! 曲芸!」
彼等は厳粛な顔をしてかの女のつく手を瞠った。
かの女はまた、毬をつき毬唄を唄っている間に、ふと、こんなことを思い泛べた。毬一つ買ってやれず、むす子を遊ばせ兼ねたむかし、そして、むす子が二十になって、今むす子とその友達のために毬唄をうたう自分。憎い運命、いじらしい運命、そしてまたいつのときにかこの子のために毬をつかれることやら――恐らく、これが最後でもあろうか。