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ぼこうふっこう

母校復興

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,891 字 · 15 页

青空文庫

「次」

と早川さんが命じる。

「えゝ、今晩の会は寔に有難くお礼申上げます。この機を利用して諸先生並びに同級生諸君に満腔の敬意を表します。さて、松本君は人に食わせて食って行く御商売だと仰有って謙遜なさいましたが、私は甚だその意を得ません。何となれば私のは又毎日人を切って食うという極めて穏かならぬ職業であります」

と鬚だらけの偉丈夫が弁じ始めた時、一同笑い出した。

「何うも自分ながら悲惨な境遇だと思っていますが、乗りかけた舟で、今後とも同胞を切って食う外に生活の道がありません。私は○○大学医学部で解剖学の教授を勤めて居ります」

「巧く引っかけやがるな」

と三浦君の職業を知らなかった二三人は口惜しがった。

「この間電車の中で労働者の問答を耳にしていますと、甲のものが、『おれの心臓はこの頃又消化が悪くなったようだ』と申しました。それに対して乙のものは、『一体お前は何方の心臓が弱いんだい?』と訊ねました。無論諸君の中にはこんな人もございますまいが、人間としては自分の臓器のありどころを精確に承知している必要があります。御覧に入れますから、あの方面へお出の節何うぞお立寄り下さい。