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ぼこうふっこう

母校復興

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,891 字 · 15 页

青空文庫

「去年さ。彼方に長くいてしまったものだからね」

「及川君、君は多そうだな?」

と今度は子供の数の詮索になる。点数を問題にしていた頃から一足飛びだ。

同級生も中学時代のは殊に懐しい。折にふれて思い出してもそのまゝ同じ針路を採ったものゝ外は兎角音信不通に陥る。専門学校や大学だと職業が略※(二の字点、1-2-22)同様だから顔を合せる機会もあるが、中学で別れた連中は有らゆる方面へ散ってしまう。

それが今二十名近く一堂に会したのである。幾何代数英文法に頭を悩まして以来二十有余年、皆四十面をさげている。働き盛り男盛りだ。肩書からいうと海軍少佐、某呉服店営業課長、某銀行支店長、地方裁判所判事、私立医大教授なぞが出世頭で、自家営業では料理屋の亭主、小間物問屋、地主、運送屋、何といっても会社員が一番多い。失敗者や目下失業中のものは姿を見せない。

老校長と教頭はこの間を斡旋している。二人とも創立以来だから、皆五年間お世話になって深い親しみを持っている。

「何うです? 百貨店はお忙しいでしょうな?」

と教頭は今し某呉服店の営業課長を勤めている男に話しかけた。

「はあ、年中区切りのない商売ですから、のんびりすることがありません。