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ぼこうふっこう

母校復興

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,891 字 · 15 页

青空文庫

お買物にお出の折何うぞお寄り下さい」

と営業課長は埃及煙草をふかしている。

「有難う。時々参りますから、一つ伺って課長振りを拝見致しましょう」

「僕も君がいることを知っているんだが、忙しかろうと思っていつも失敬してしまう」

と裁判官が口を出した。

「是非寄ってくれ給え。忙しいって知れたもんだよ」

「寺島さんも随分お忙しいでしょうな」

と教頭は判事に向った。

「私の方は楽ですよ。一日置きです」

と判事も煙草に火をつけた。皆在学中煙草をのんで叱られた連中だ。それが天下晴れて教室を燻べながら旧師と語るのだから今昔の感がある。

「先生、僕は四年の時煙草を見つかって、先生から停学処分を申渡されたことがありますよ」

と営業課長は思い出した。

「そんなこともあったようですな」

「僕もやられましたよ。厳しかったですなあ、あの頃は」

と運送屋さんが指先で額を叩いて舌を出す。

「学校も社会と同じことさ。馬鹿な奴が検挙される」

と判事が言った。

「此奴は狡かったからなあ。裁判官が呆れるよ」

「先生、寺島が無事だったのは奇蹟ですよ。此奴は始終教室で吸っていましたからな」

と運送屋と営業課長が右左から素っぱぬいた。