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ぼこうふっこう

母校復興

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,891 字 · 15 页

青空文庫

「残余は皆地方か。然う/\この間大阪へ行ったら熊谷に会ったよ」

なぞと隣り同志語らい始めた。

「愉快だなあ。こんな会を時々やると宜いんだが、学校の発起でなけりゃ斯うは集まらないよ」

「然うとも。個人の招集じゃ権威がない。年に一回早川さんに頼むんだね」

と頻りに学校を徳としているものもあった。

「何うも恐ろしく尻の痛い腰掛だね」

「然うさ。昔はこんなものへ平気で坐っていたんだから驚くよ」

「この机が又ひどいね。疵だらけだ」

「木目が盛り上っていらあ。こゝには裸体美人が彫ってある。この頃の中学生は油断がならないな」

「僕達だってやったものだぜ」

「こんな凸凹した机の上で答案を書いたんだから、骨だったよ。下敷を使えばカンニングの嫌疑を受ける」

「おや/\」

「何だい?」

「この羅馬字は僕が彫ったんだぜ。K. KATAOKA とある。懐かしいなあ」

「おい/\、泣くなよ」

「泣きはしないが涙ぐましくなるね。二十年昔に返ったような気がする」

「感慨無量ってのはこんな時に使う言葉だろうね。こゝは三年級の教室だったぜ。僕は三年の時落っこったから、こゝに二年いたんだよ」

と少年時代を如実に突きつけられた向き/\も尠くなかった。