轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みずのしたのいし
水の下の石
山本 周五郎
「新武道」1944(昭和19)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,791 字 · 28 页
のであった。
兵粮をつかい休息しているあいだに、いつか雨はあがって、あたりは幕を張ったような濃霧がたちはじめた、まるでかれらの攻撃を掩護するために自然が協力して呉れたような仕合せである。幸先よしと、図書助は立って前進の合図をした。兵たちは持ち物を小荷駄にわたして軽装になり、しとどに濡れた叢林をわけて、暁闇のなかをしずかに城の搦手へと接近していった。「おい小弥太……」安倍大七が前のほうから来てそっと呼びかけた、「しっかり頼むぞ、こんどは小勢の合戦だから手柄をたてるには又とない機会だ、めざましくやって呉れ、いいか」「…………」「ゆうべの失策だけでもとりかえすんだ、さもないと本陣へは帰れないぞ、わかっているだろうな」小弥太はうんとも云わず、前の兵の背中をみつめたきり黙って歩いている、大七はその顔をねめつけ、われ知らずまた舌打ちをした、ぐわんと一つ肩でも殴りつけてやりたいと思った。……かれらは幼な友達だった、どちらも旧くから鳥居家に属する足軽の子で、大七のほうが二歳だけ年長であり、気質のうえからも兄のような立場にいた。ごく親しい友達というものはたいがい性情の違う