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きしゃははしる
汽車は走る
小川 未明
「日本の子供」1941(昭和16)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,849 字 · 8 页
「叔母さんが、おてつだいをしながら、もうすこし勉勉をつづけたらといいますので。」と、かよ子は答えました。
「それはけっこうなことです。このお教室では、あなたのお母さんもおけいこをなさったのですよ。お母さんは、どの課目もよくおできになったが、お裁縫もお好きでした。いまのお子さんたちは、どういうものか、お裁縫がきらいですが、これからの日本の婦人は、ひととおりのお仕事ができなければ、大陸へもいけないと、校長先生もおっしゃっておいでです。」
「それで、私、東京へいったら、夜学にでも通って、洋裁を習おうかと思うのです。」
「いいお考えですね。時勢がこんなですから、衣服のほうも働きいいように改良されましょうし、私など、こうおばあさんになっては、新しい研究は骨がおれますし、若い人にやってもらわなければ。」と、先生は、いわれて、さびしそうに笑われました。
かよ子は、お母さんが、まだ生徒の時代から、この学校に教えていられる先生の生活を考えると、なんとなく尊く頭の下がるような気がしました。
しばらく、かよ子は、うつむいて、だまってお裁縫をしていました。
はじめてお母さんにつれられて、この学校へ上がったとき、お母さんは、あの桜の木の下に立って、自分たちが遊戯をするのを見ていられた。