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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
閣というのは他でもない、地下に出来ている館のことよ。私達のいるここのことよ。そうしてここは阿片窟よ。阿片窟ではあるけれど、同時にここは秘密結社の一番大事な本部なのよ。こういうとあなたは訊くでしょう。いったい何の秘密結社かってね。私教えてあげますわ。世界征服を心掛けている恐ろしい秘密の結社ですの……そして結社の首領というのは――そうよ、結社の首領というのは、大変偉い人ですの、私をここへ呼び寄せたのも秘密結社のその首領よ――そして私はその人に、愛情を捧げておりますの!」
「いったいそいつは何者だ! いったいそいつはどこにいる!」私は思わず怒鳴りつけた。それほど紅玉の譫言は私の心を傷つけたのであった。
すると彼女は同じ調子で、私にそれを物語った。
「あなたはその人を知っている筈よ。少くもあなたはその人の銅像を知っている筈よ」
「銅像だって※(感嘆符疑問符、1-8-78) どんな銅像?」
「廊下に立っていたでしょう」
「あれは袁世凱の銅像だ!」
「昔はそういう名でしたわね」
「袁世凱は、とうの昔、この世から死んでしまった筈だ!」
「世人はそう云っていますけれど、ほんとは生きているのですよ」