轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
知県衙門のあるところは小東門内の中央である。
日没を合図に内外の市街は――県城内の旧市街と県城外の新市街とは、交通を遮断する掟であってその日没も近づいているので、ラシイヌは郭門の一つから城内へ急いではいって行った。城内の街の狭隘さは、二人並んで歩くことさえ出来ぬ。凸凹の激しいその道には豚血牛脂流れ出しほとんど小溝をなしている。下水の桶から発散する臭気や、葱や、山椒や、芥子などの支那人好みの野菜の香が街に充ち充ちた煙りと共に人の嗅覚を麻痺させる。小箱のような陋屋からは赤児の泣き声や女の喚き声や竹の棒切れで撲る音などが、巷に群れている野良犬の声と、殺気立った合唱を作っている。
街には人が出盛っていて、あっちでもこっちでも支那人らしい誇張した声音と身振りとで「負けろ」「まけない」の掛け合い事――つまり、商売をやっている。誰も彼もみんな忙がしそうだ。そういう忙がしい人達を縫って、さも隙そうな若者どもが、小唄を唄いながらぶらついている。仔細に見るとそれらの者はいずれも逞しい体をした働き盛りの若者である。しかも彼らは働こうともせず、唄を唄って歩いている。彼らのうたうその唄こそは、ラシイヌの聞きたがっている唄である。