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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
「石からも人間はつくれないよ」
「水と土とで作ろうか」
「おおきにそいつはいいだろう」
水と土とで作られたのは
私達の先祖、人間様!
土が積もって山となり
水が溜まって湖となる
山と湖とに守られて
私達の先祖が住んでいる
湖と山とに囲まれて
先祖の宝が秘蔵されてある
訳してしまうと老博士はラシイヌの顔を真っ直ぐに見て熱心な口調で云うのであった。
「山と湖とに守られて私達の先祖が住んでいる。湖と山とに囲まれて先祖の宝が秘蔵されてある。……この唄の意味をどう思うね? 僕らがこれから向かおうとする宝庫探検の目的とこの唄の文句に含まれている一つの暗示的の意味との間に脈があるとは思わないかね? ……」
すると、その時まで博士の横に黙って立っていたレザールが、横の方から口を出した。
「大いにあると思いますな……実は私もこの唄の意味とそっくり同じ意味のことをボルネオ土人から幾度となく話して聞かされたものですよ。つまりそのために濠州の方を探検するのを後に廻してボルネオから先に探検べようと、数回手紙や電報でラシイヌさんと打ち合わせて、濠州のメルボルンへ行く途中、サンダカンへ先に上陸して、ともかくもボルネオの奥地の方を、探検しようと二人の間だけでは決定していたのでございますよ。