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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
「ここはいったいどこなのです?」
「ここは水底の地下室じゃ!」
「宝物庫でございますな?」
「いかにもさようじゃ。羅布人のな」
「え、羅布人でございますって!」
「回鶻人と云ってもよい」
「回鶻人でございますって? ――それでは私はようやくのことで目的をとげたというものだ! 羅布人の宝庫! 羅布人の宝庫!」
「しかしお前が発見けるより先に私がいち早く見付けていた。危険の多い湖底から沙漠の地下室へ人猿と一緒に宝を移したのもこのわしじゃ」
「それでは渦巻を起こしたのも湖水の水を涸らしたのも皆あなたでございますか?」
老人は黙って微笑した。
「それにしてもあなたはこの宝庫を何故世の中へ発表して用に立てないのでございます?」
「ただわしがそれを欲しないからだ。地下には四十の部屋があってあらゆる宝石貴金属が一杯そこに詰まっている。何億あるか何十億あるか、現代の貨幣に換算したらそれこそ大陸の二つや三つは優に買うことが出来るだろう……」
四十四
老人は静かに云いつづけた。
「凄まじいほどの巨財なのじゃ。ところで今日の世界と云えば物質一方の世界ではないか。そういう世界へこれだけの巨財を仮りに提供したとなったら、その財宝の所有争いで国々で戦争さえするであろう。