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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

レザールは髪を掻きむしった。

「理由はつまり復讐だ!」

「マドリッドへ復讐するのですか?」

「マドリッドの住人のある一人が、彼らを憤怒させたからさ」

「どんな悪いことをしたのでしょう? そうしてそれは何者です?」レザールは益※(二の字点、1-2-22)いらいらした。

「マドリッド市長が彼らの宝の、経文の一部を取ったのだ――つまり発掘したんだね。そこで彼らはその経文を取り返すために出て来たのさ」

「ふうむ」とレザールは呻くように、「市長の書斎を掃きながら、贋物の女中が掃きすてたという、例の紙屑という奴が、その経文の一部ですな?」

「その紙屑を取り返すために、女中に化けて住み込んだり、燐光を放す狛犬を、人工で拵えておっ放し、市長を脅したってものさ」ラシイヌは悠々と説明した。

「私も贋物だと思いました」レザールはいくらか昂奮したが、「……つまり私はこの事件を、こんなように解釈しましたので……」

「話はゆっくり後で聞くが……君はいったい怪物を――燐光を放す怪獣を――何の贋物だと思ったかね?」

「恐らく犬か狼へ、燐光を放す薬品類を塗ったものだと思いました」

「犬か狼かいずれ直きに彼奴の正体は解るだろう。