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さばくのうた

沙漠の歌

国枝 史郎

スタンレー探検日記

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,571 字 · 10 页

青空文庫

二

『満目荒涼』という言葉は斯ういう土地を形容するため存在しているのではあるまいかと、このように思われるほど四辺の眺望は、物凄く荒れ果てて居りました。椰子、檳榔樹、芭蕉、カカオ、ゴムの木、合歓の木、アカシヤなどが、僅にあちこちに生えているばかりで、その他には涯も無い砂の海と砂の小山とがあるばかりです。空には焼け爛れた円盤のような太陽がギラギラと輝いて居り、地には無数の獣の足跡が斑紋を為して着いていました。何方を眺めても人影は無く、まして人声などは聞えません。聞えて来るのは食物に倦いた猛獣の恐ろしい吠え声と太陽を掠めて舞っている巨大な沙漠鷲の啼き声だけです。

其処にあるものは沈黙のみ

そこにあるものは恐怖のみ

幸福、歓喜、唄、微笑

それらのものの影さえもなし

東洋の詩人が詠ったように、全く其処には一切の幸福らしいものはありませんでした。

そういう光景を眺めた時私はつくづくこう思いました。こんな寂しい沙漠の中で一生を暮らさなければならないような、そんな運命に生れたとしたら、どんなに自分は悲しいだろう。そして自分はその運命をどんなに怨み詈るだろう」

二

その日私達四人の者は日の暮れるまで其辺の探検に時間を費しました。