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なきんぼうのはなし
泣きんぼうの話
小川 未明
「時事新報」1922(大正11)年8月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,184 字 · 5 页
いい子だから、もう、そんなに大きな声を出して泣かないでおくれ。」と、あとから、子供について歩いて、おばあさんは頼みました。
泣きんぼうは、やさしくいわれると、ますます体を揺すぶって、空を向いて、両手をだらりと垂れて、顔いっぱいに大きな口を開けて泣き出しました。いがぐり頭を日にさらしながら、涙は光って、玉となって日に焼けた顔の上を走りました。
白髪のおばあさんは、さしている日がさを地面に置いて、子供をすかしたり、なだめたりしました。二人の立っている往来の空には、とんぼが、羽を輝かしながら飛んでいます。
「やだい。やだい。ひい――ひい。」と、子供はいって、泣きました。
日盛りごろで、あたりは、しんとして、強い夏の日光が、木の葉や、草の葉の上にきらきらときらめいているばかりでした。人々は、家の中で、昼寝でもしようと思っているやさきなものですから、頭を枕からあげて口説きました。
「また、泣きんぼうが泣きだした。あんな、いやな子は、この世界じゅうさがしたってない。」と、ののしったものもあります。
「坊や、いい子だ。おばあさんが悪かったのだから、もう泣かんでおくれ。