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でいたんちそうわ
泥炭地双話
中谷 宇吉郎
美しき泥炭地「科学と芸術」1946(昭和21)年3月<br>泥炭地の物理「農業朝日」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,790 字 · 12 页
そんなに時をかけないで、何とかしてこの泥炭地の開発が出来たら、北海道だけで、何万町歩という耕作地が得られるはずだがという話である。
これは大変面白い話で、農業物理学では恰好の問題である。気に入ったのは、三十年とか五十年とかの時と労力とをかければ出来るに決まっていることで、現にそれは出来ている、そういう問題を科学の力で時を縮められないかという点である。それは科学を最も正当に使う道である。科学というものは、可能なことを実現するための学問で、ただ全然科学を知らない人がやるよりも、無駄を少なくして、時と労力とを節約する点にその効能があるのである。
それでは一つ泥炭地の研究を始めようかという話になり、一体泥炭地がどういう点で困るのかをきいてみた。泥炭地が何故農耕に適しないかも知らないで、その研究を始めるというのも大胆な話であるが、泥炭地の物理的又は地球物理的な研究というものは、今まであまり無いように思われる。そういう手の付いていない問題ならば、やれば必ずやっただけの値打はあるものである。これは研究の委託などを持って来られた場合に使う極り文句で、本当に困っている問題ならば、研究をすれば、先方で予期されるような効果は出ないかもしれないが、やればやっただけの効果は必ずあるものである。