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でいたんちそうわ

泥炭地双話

中谷 宇吉郎

美しき泥炭地「科学と芸術」1946(昭和21)年3月<br>泥炭地の物理「農業朝日」1946(昭和21)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,790 字 · 12 页

青空文庫

しかしその研究に採るべき道は、この問題に全然手をつけていない今の時期でも、はっきりと指示することが出来るように、自分には思われる。

考えようによっては、問題は極めて簡単である。泥炭地の地表面近い所の地温は、太陽からの輻射熱と、地下からの地熱の伝達とによって上昇し、冬の間に積った雪を融かすに必要な潜熱と、大気中に奪われる熱とによって低められる。この正と負との差によって地温が決定されるはずである。問題は正の方を出来るだけ多くして、負を少なくするように努力するのが唯一の道である。

負の方についてみると、一冬の間に地表に積る雪の量を左右することは、実際問題として当分は不可能である。それで大気中に逸散する熱を出来るだけ少なくするように試みるより外に方法は無い。大気中に逃げる熱は、輻射や伝導はあまり問題でなく、主なものは対流である。というと大分学問的なようであるが、結局風があると冷え易いということである。即ち防風林を作ればいいということになる。防風林は作物の育成にも直接必要なもので、今さら言うまでもないが、防風林の高さと密度とその間隔とが、地熱の保持にどう効くか、一番有効な植林の方法はどうかというようなことも、まだあまりよく研究されていないように思われる。