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ちゅうもんのおおいりょうりてん
注文の多い料理店
宮沢賢治『注文の多い料理店』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『注文の多い料理店』序、注文の多い料理店、さるのこしかけ、茨海小学校、どんぐりと山猫、狼森と笊森、盗森、烏の北斗七星、月夜のでんしんばしら、水仙月の四日、山男の四月、かしわばやしの夜、鹿踊りのはじまり、雪渡り、気のいい火山弾、土神ときつね、楢ノ木大学士の野宿。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,269 字 · 223 页
」
「おう、けっこ。」
鹿はそれからみんなばらばらになって、四方から栃のだんごを囲んで集まりました。
そしていちばんはじめに手拭に進んだ鹿から、一口ずつ団子をたべました。六疋めの鹿は、やっと豆粒のくらいをたべただけです。
鹿はそれからまた環になって、ぐるぐるぐるぐるめぐりあるきました。
嘉十はもうあんまりよく鹿を見ましたので、じぶんまでが鹿のような気がして、いまにもとび出そうとしましたが、じぶんの大きな手がすぐ眼にはいりましたので、やっぱりだめだとおもいながらまた息をこらしました。
太陽はこのとき、ちょうどはんのきの梢の中ほどにかかって、少し黄いろにかがやいて居りました。鹿のめぐりはまただんだんゆるやかになって、たがいにせわしくうなずき合い、やがて一列に太陽に向いて、それを拝むようにしてまっすぐに立ったのでした。嘉十はもうほんとうに夢のようにそれに見とれていたのです。
一ばん右はじにたった鹿が細い声でうたいました。
「はんの木の
みどりみじんの葉の向さ
じゃらんじゃららんの
お日さん懸がる。」
その水晶の笛のような声に、嘉十は目をつぶってふるえあがりました。