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ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

宮沢賢治『注文の多い料理店』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『注文の多い料理店』序、注文の多い料理店、さるのこしかけ、茨海小学校、どんぐりと山猫、狼森と笊森、盗森、烏の北斗七星、月夜のでんしんばしら、水仙月の四日、山男の四月、かしわばやしの夜、鹿踊りのはじまり、雪渡り、気のいい火山弾、土神ときつね、楢ノ木大学士の野宿。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,269 字 · 223 页

青空文庫

すると子狐紺三郎が云いました。

「鹿の子もよびましょうか。鹿の子はそりゃ笛がうまいんですよ。」

四郎とかん子とは手を叩いてよろこびました。そこで三人は一緒に叫びました。

「堅雪かんこ、凍み雪しんこ、鹿の子ぁ嫁ぃほしいほしい。」

すると向うで、

「北風ぴいぴい風三郎、西風どうどう又三郎」と細いいい声がしました。

狐の子の紺三郎がいかにもばかにしたように、口を尖らして云いました。

「あれは鹿の子です。あいつは臆病ですからとてもこっちへ来そうにありません。けれどもう一遍叫んでみましょうか。」

そこで三人は又叫びました。

「堅雪かんこ、凍み雪しんこ、しかの子ぁ嫁ほしい、ほしい。」

すると今度はずうっと遠くで風の音か笛の声か、又は鹿の子の歌かこんなように聞えました。

「北風ぴいぴい、かんこかんこ

西風どうどう、どっこどっこ。」

狐が又ひげをひねって云いました。

「雪が柔らかになるといけませんからもうお帰りなさい。今度月夜に雪が凍ったらきっとおいで下さい。さっきの幻燈をやりますから。」

そこで四郎とかん子とは

「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」と歌いながら銀の雪を渡っておうちへ帰りました。