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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
――ああ矢張り密偵団の陰謀は、この大地図の上に印せられてあったのだ! 帆村の興奮は、その極に達した。
が、そこに恐ろしい危機があった。帆村の警戒の目がちょっと留守になったのだ。
ガチャーン――と、烈しい物音!
ガラガラと硝子の壊れ落ちる響がしたと思うと、途端に赤い光線がサッと滅した。そして面妖にも、青色の極東を中心とする大地図が消え失せて、あとには始めにみた花鳥の図が、何事もなかったように壁間に掛っていた。――
「やったナ」
と首領の方に気をくばる。――
もう遅かった。ガーンと帆村の頤を強襲した猛烈な打撃! 彼はウンと一声呻るとともに、意識を失ってしまった。
樽のある部屋
それから、どのくらい時間が経ったのか分らなかったが、兎に角帆村探偵は頸筋のあたりにヒヤリと冷いものを感じて、ハッと気がついた。
(おや、自分は何をしていたんだろう?)
そのような疑惑が、すぐ頭の上にのぼってきた。
目を明いてみたが、なんだか薄暗くて、よくは分らない。
(一体ここは何処だろう?)
と、不思議に思って、立ち上ろうとしたが途端にイヤというほど脳天をうちつけ、ズキンと頭部に割れるような痛みを感じた。