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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
お分りかナ。――」
と首領は悪意を笑声に盛って投げつけた。それを聞くと帆村はもう耐えられなくなった。
「――分らなくて、どうするものか!」
と彼は叫んだ。自暴的な自殺的な言葉を吐くのが、彼のよくない病癖だったが、それを喚き散らすと、いつの場合も反射的に天来の霊感が浮んでくるのであった。今の場合もそうだった。
そうだもう一つの押釦があった。
その押釦を押しさえすればいいのだ。心配は押してみてから後でもよい!
帆村はつと手を伸べて、首領席についているもう一つの押釦をグイと押した。すると、果然その反応は起った。
図譜に向いあった壁面に、一つの穴のようなものがポカリと明くと、その中からサッと赤色の光線が迸ると見るより早く、かの大図譜の上に投げ掛った。
と。――
なんという不思議! 大図譜の上に乱れ飛んでいた花鳥がサッと姿を消して、その代りに図譜の上には大きな地図が現れた。地図! 地図! 青色の大地図だった。そして意外にも極東の大地図だった。日本を中心として、右には米大陸の西岸が見え、上には北氷洋が、西には印度の全体が、そして下には遥かに濠洲が見えている。その地図の上には、ところどころに太い青線で妙な標がついていた。