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わたしのりれきしょ
浅沼稲次郎 私の履歴書ほか
浅沼 稲次郎
浅沼稲次郎『浅沼稲次郎 私の履歴書ほか』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の履歴書、浅沼稲次郎の三つの代表的演説、まあまあ居士の弁。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,264 字 · 91 页
また文化同盟の事務所には、学生が合宿して用意を整えて対峙する。私も当時日本橋におったが、いつ押しかけて来るか分らないので、何時も用意して対峙すると云った様に深刻な場面がつづいた。その中に六月五日に所謂暁の手入というのがあって第一次共産党事件の検挙が行われた。此の時には佐野教授が姿を晦ましてしまったので、学生のおどろきは相当なものがあった。此の共産党事件に佐野教授が関係があるというので大学内における佐野教授の研究室の捜査が行われた。これに対してまた、われわれ学生の憤激が爆発した。大学の中に捜査の手を伸べるとは何事か。我等は学問の独立と研究の自由を守らなければならない。大学擁護の運動を起さなければならんというのでその時には、三宅雪嶺先生、福田徳三先生、大山郁夫先生の三人を中心として、神田の基督教青年会館で大学擁護の一大講演会を開いた。その日は社会主義者高尾平兵衛が誰かに射殺された日で、息づまる雰囲気の中で演説会をやった。今でも忘れないが、この日は三人とも大雄弁で、殊に三宅雪嶺が、あの訥々の弁で、大いに学問の独立を擁護しなければならぬ、あくまで研究の自由を守らなければならぬと叫ばれたことはいまも印象に残っている。