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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

早く追え!」

リット少将の、われ鐘のような怒声に、警備隊員たちは、やっとわれにかえった。

「あっ、向こうへ飛びおりたぞ」

「逃がすな」

すぐさま二手にわかれて川上機関大尉のあとを追いかけた。が、機関大尉が、いつまでも追って来る彼等を待っているはずはなかった。

窓枠の上にのぼり、こわれた窓から外を恐る恐る覗いた警備隊員の顔と、一方外から、大廻をして破れた窓を見上げた警備隊員の顔とが、上からと下からとくすぐったく視線をぶっつけ、

「ちぇっ、逃げられたか」

「恐しくはしっこい奴めだ」

と、つぶやきながら横を向いてしまった。飛行島のアンテナ線にとまっていた阿呆鳥の群が、このとき白い糞を下におとして、藍をとかしたような大空にぱっと飛び立った。

懸賞の首

自室に戻ったリット少将の、怒った顔こそ、この飛行島ができてからこの方の大見物であった。

「ばかめ、ばかめ、大ばかめ!」

自分自身を罵るように呶鳴り散らしながら、絨毯の上をどすんどすんと歩きまわるのであった。

「相手は、たった一人ではないか。たった一人の東洋人を捕らえかねて、島内がまるで蜂の巣をつついたように騒ぎまわっているとは、一たい何たるざまだ。