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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
このところ杉田にとっては、生きるに生きられず、死ぬに死なれぬ苦しさであった。
「おい杉田」
川上機関大尉の声だ。
「はい」
「俺はこれから、ちょっと上へのぼって、飛行島の様子をさぐってくる。お前は、短気をおこさず、ここに待っていろ」
「はっ。上官、杉田もぜひおつれください。私とて敵の一人や二人は――」
「いや、まだ襲撃をやるわけではない。いずれ襲撃をやるときは、かならずお前をつれてゆく。それを楽しみに待っておれ。今は偵察にゆくんだ。敵状を知らねば、斬りこみようもないではないか」
と、川上機関大尉は持っていた日本刀の柄を叩いた。
この日本刀は、大尉が一振、杉田が一振もっていた。こんなところで日本刀を手に入れたのは、不思議というほかはないが、実はこれにも神明の加護があったのである。それは川上がブルー・チャイナ号に乗船したときのことだった。彼は飛行島に潜入したときに近づきになった比島の志士カナモナ氏が数本の日本刀を持っているのを見て、無理にねだって、二本を譲りうけたものであった。それは二人の勇士にとって、この上もなき利器であった。
「はっ、では杉田は、ここで部署を守っております」