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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
なんという凄絶な光景であったろう。
× × ×
「長谷部少佐、今のを見たか」
「は、見ました。司令官。飛行島が爆破したのではありますまいか」
「うむ、そうかもしれない」
駆逐艦清風の艦橋で、双眼鏡を手にとって語る二人の将校があった。
駆逐艦清風は、いま浮かぶ飛行島へ、海上あと十キロのところまで近づいていた。その後に従うのは、いずれも帝国海軍が快速と攻撃力とを誇る最新一等駆逐艦十六隻だ。いや、それだけではない。そのすぐ後方には、水雷戦隊が暁闇の波浪をのりきって驀進しつつある。そのうちに、灰色の雲間を破って、わが海の荒鷲隊が勇姿を現すことであろう。主力艦隊も、堂々とこちらへ前進しつつあるのにちがいない。
艦艇のマストには、戦闘旗がひらひらとひるがえった。
飛行島大戦隊は、夜明とともに、わが艦隊に頭をおさえられた形だった。まだまだ海戦は起らないものと思っていたのに、不意に日本艦隊が現れたのだった。飛行島大戦隊は狼狽の色をかくしきれなかった。
いや、もし、こういう際に、リット提督の乗る飛行島がちゃんとしていてくれれば、たとい駆逐艦隊現れようとも海の荒鷲が襲いかかろうとも、また主力艦隊が押しよせて来ようと、飛行島の持つ二十インチの巨砲が物をいうであろうし、島内にかくされた無数の新鋭駆逐機や雷撃機が凄じい